不動産専門家によるマンション選びのポイント

「住まい」とひと言でいっても、その形式は実に様々。
分譲マンション、一戸建、賃貸住宅など、それぞれのライフスタイルに応じた「住まい」があります。
そこで今回は、長崎第2の都市、佐世保市内で「分譲マンション」を選ぶ際のポイントについてご紹介します。

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株式会社 九州産業研究所
代表取締役 板井 工典
福岡市中央区大名1-4-1 NDビル4F

九州一円の分譲マンションや新築一戸建のマーケットを独自リサーチ。
住宅開発調査、事業者向け不動産情報誌の発刊、住まい選びセミナー講師など九州の不動産市場を見つめ続け30年。不動産調査案件は年間300件を実査。
福岡市、大分県庁など官公庁の調査協力ほか、一般市民に寄り添った暮らしと住まいに関するレポートなど多数執筆。

目次

POINT① エリアについて
POINT② 資産性について
POINT③ 駅近マンションの希少性

POINT① エリアについて

エリア内に「公共交通機関」と「買物施設」が充実しているか?

住まいの「エリア」を選ぶ際、大きな決め手となるのは、家族ごとのライフスタイルです。毎日の通勤に使う駅やバス停、また職場・学校・実家への近さなど、ライフスタイルに合うかどうかを考え、エリアを絞り込んでいきます。

そこで注目したいのは、エリア内に「生活利便施設が充実しているかどうか」ということです。中でも、日常の移動手段としてなくてはならない「公共交通機関」、そして「衣食住」という言葉があるように日々、利用できる「買物施設」が充実しているかということは重視したいです。

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ライフスタイルの変化を踏まえた長期的視点で検討する

「交通環境」、「買物環境」、「教育環境」などのいずれかだけを重視しすぎても、やがて訪れるライフスタイルの変化(通勤場所・交通手段の変化、子供の独立・両親の介護など)に対応できない可能性があります。
1~2年住むだけであれば、多少の不便さにも目をつぶることはできますが、それ以上の年数を過ごすとなると、愛すべき住まいが大きなストレスになりかねません。

佐世保市内で考えると、公共交通機関の要である「JR・MR佐世保駅」や、買物施設の中心となる「させぼ四ヶ町商店街」をはじめ、「えきマチ一丁目」、「させぼ五番街」などに程近い「佐世保駅周辺エリア」が、先々のライフスタイルの変化にも左右されない暮らしが可能なエリアだと考えられます。

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POINT② 資産性について

住宅を購入するのは、当然ながら大きな買物であり、資産として評価される財産を購入するということでもあります。資産性の高い住まいならライフスタイルの変化によって、仮に「売りたい」「貸したい」となった場合でも、その効果を発揮できます。
逆に、資産性の低い住まいを手にしても効果は発揮されるどころか、むしろ買った時点で負債を背負うということにもなりかねません。
それでは、資産性とは何なのか?ここでは佐世保市内の分譲マンションの具体的な資産性について、データを用いてご説明します。

売りたい時

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過去に取引きされた中古マンション物件において、佐世保市内全域での平均坪単価は73.2万円。一方、JR佐世保駅を中心とした半径1km圏内の物件だけを見た平均坪単価は86.2万円と、駅に近い物件ほど高く取引されていることが分かります。

駅1km圏の物件

物件名 間取り 面積
(㎡)
成約価格
(万円)
築年月 坪単価
(万円)
Vマンション  2LDK   68.48 2088 2001年1月 100.8
Aマンション  3SLDK   75.44 2400 2013年12月 105.2
Gマンション  4LDK   84.42 2750 2006年10月 107.7
Vマンション  4LDK   83.61 2100 2004年5月 83
Vマンション  1LDK   56.07 1860 2008年11月 109.7
Sマンション  4LDK   99.98 2660 2008年1月 88
Vマンション  4LDK   102.56 2700 2008年10月 87
Nマンション  2LDK   60.5 920 1992年8月 50.3
Gマンション  3LDK   66.21 2000 2005年7月 99.9
Gマンション  4LDK   106.21 2550 2005年6月 79.4
Gマンション  3LDK   106.21 2400 2005年6月 74.7
Cマンション  2LDK   64.35 1480 2004年8月 76
Cマンション  2LDK   64.35 1580 2004年8月 81.2
Lマンション  3LDK   90 2500 2009年11月 91.8
Pマンション  3LDK   100.8 2950 2012年6月 96.7
Nマンション  1LDK   39.74 570 1992年8月 47.4

その他エリアの物件

物件名 間取り 面積
(㎡)
成約価格
(万円)
築年月 坪単価
(万円)
―  2LDK   60.13 1200 1998年3月 66
―  3LDK   74.71 1350 1998年2月 59.7
Sマンション  2LDK   91.98 1480 1992年1月 53.2
Aマンション  3LDK   64.29 680 1987年5月 35
Aマンション  3LDK   64.29 600 1987年5月 30.9
Wマンション  2LDK   59.92 830 1994年5月 45.8
Wマンション  3LDK   63.68 850 1994年5月 44.1
Wマンション  3LDK   69.19 880 1994年6月 42
Wマンション  4LDK   84.02 1180 1987年10月 46.4
Sマンション  3LDK   69.9 980 1990年2月 46.3
Sマンション  3DK   93.19 630 1983年7月 22.3
Tマンション  1K   29.53 400 1988年1月 44.8
Vマンション  3LDK   69.94 2200 2004年3月 104
Vマンション  3LDK   77.71 1880 2001年2月 80
Pマンション  3LDK   70.2 1340 2000年7月 63.1
Pマンション  2LDK   73.47 830 1997年8月 37.3
Pマンション  2LDK   63.46 2370 2013年9月 123.5
Pマンション  1LDK   59.02 2240 2013年9月 125.5
Lマンション  4LDK   88.85 2400 2012年11月 89.3
Lマンション  4LDK   88.85 2420 2012年12月 90
Lマンション  3LDK   71.64 1750 2012年11月 80.8
Gマンション  4LDK   83.63 1950 2007年11月 77.1
Pマンション  4LDK   79.25 1650 1998年2月 68.8

※アットホーム中古マンション成約データを基に弊社が集計。
※2015年以降に取引された物件を対象

貸したい時・・・

佐世保市内の分譲マンションの賃貸物件における成約賃料は、1㎡あたり平均1,794円となっています。(※1)。
この平米単価を基にした75㎡のマンションの賃料は134,587円(75㎡×1,794円)です。仮に3,300万円のマンションを購入し住宅ローンを組んだ場合、毎月の支払額は109,000円(※2)。
グラフが示す通り、賃貸物件として貸し出しても賃料の方が高くなるのです。

貸し出し賃料と住宅ローン支払い価格比較

貸し出し賃料と住宅ローン支払い価格比較

※1 アットホーム調べを基に弊社が集計した数値。2000年築(H12年築)以降の物件を対象とした数値。
※2 3,300万円の借入で1%の金利、元利均等、35年返済の場合、住宅ローン=毎月94,000円、管理費+修繕積立費=毎月15,000円と仮定、合計=109,000円
※租税公課は上記の試算には含んでおりません。また、家賃は、物価変動による変更などがあるため、将来にわたって保障されるものではありません。

地価について

国交省の2017年1月1日付の公示地価によると、佐世保市内における地価の上位5位中、佐世保駅から1km圏である三浦町が4位にランクインしており、さらに2016年から2017年にかけての地価上昇率が100%以上の地点で見ると、三浦町内では2地点が横ばい、または上昇しています。地価が維持・上昇している=場所の評価が高い、つまり「エリアとしてのポテンシャルの高さ」を示しています。

佐世保市内の地価上位5位

  地点 H29(円/㎡)
1 島瀬町47番1 569,000
2 栄町59番1 300,000
3 下京町23番1 274,000
4 三浦町331番 264,000
5 高砂町42番1 183,000

※2017年1月1日時点の国交省の公示地価を基に作成

佐世保市内の地価上昇率100%以上の地点(一部)

地点 H28
(円/㎡)
H29
(円/㎡)
上昇率
清水町102番5外  60500 61100 101%
東大久保町7番外  56900 57400 100.9%
塩浜町70番  150000 151000 100.7%
元町5番2  134000 135000 100.7%
花園町202番30  50300 50600 100.6%
高砂町42番1  182000 183000 100.5%
三浦町128番2外  55800 56100 100.5%
田原町247番6  44100 44200 100.2%
島瀬町47番1  569000 569000 100%
栄町59番1  300000 300000 100%
三浦町331番  264000 264000 100%
山県町1番2  181000 181000 100%

※2017年1月1日時点の国交省の公示地価を基に作成

POINT③ 駅近マンションの希少性

ここまで、分譲マンション選びにおける「生活利便施設が充実していること」や「資産性の高さ」の重要性をご紹介してきましたが、最後に大事なポイントとして、「希少であることでの付加価値」についてふれておきます。
グラフの通り、佐世保市内で過去10年間に供給された分譲マンションのうちほとんどが佐世保駅から遠い物件であり、逆に佐世保駅から徒歩5分圏内のマンションはわずか3棟と大変希少です。佐世保駅から1km圏という好立地にある分譲マンションということは希少であるため、その価値がより高まると言えるのです。

過去10年の駅近マンションとそれ以外のマンション推移

過去10年の駅近マンションとそれ以外のマンション推移

※2007年~2017年3月末の間に佐世保市内で供給されたマンションの数を集計
※弊社データを基に作成、2017年3月末時点

まとめ

一般的に住宅は一生に一度の買物と言われます。それだけに接点が少なく、購入に当たっては不慣れであるのが当然です。それゆえに日常のスーパーでの買物とは勝手が違い、見極めるべきポイントを理解しておくことが、より必要とされます。

見極めるべきポイントとは、今回ご紹介した

  • 生活利便施設が充実していること
  • 資産性の高さ
  • 希少であることでの付加価値

の3つです。

これら3つを複合的にみると、全て「立地」が大きく関わっていることが分かります。
便利、かつ希少な立地であること。
便利で希少な立地にある物件だからこそ、もしもの時に売ったり、貸したりできるというわけです。以上を踏まえ、これからの住まい選びでは「立地」を中心として、佐世保市内においてはポテンシャルの高い佐世保駅周辺エリアにて、見極めるべき3つのポイントを併せて検討することをおすすめします。

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